俺ほど親不孝な男はいない・老いた母を記録する

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母はこの冬を乗り切った。

毎年、冬の初めになると「これが最後の冬だぁ~ 春まで持だねなぁ~」と呟く。俺はこの言葉を聞くと「あぁ・・この冬もなんとか大丈夫だな・・」と、ちょっと安心する。

この言葉を何年、聞いてることか。

ただ、明らかに歳をとった。

歩くのがやっとだ。独りで食事をしている姿、風呂はどうしてるのか、絶えず頭に浮かぶ。独り暮らしをさせていることにとめどない罪悪感を感じてしまうのだ。

俺は一つも親孝行していない
俺ほど親不孝な男はいないな

同級生が家の前を通る

ホームセンターで園芸用の土を買ってきた。母は外に出ていた。写真撮るからというと、いつものケースを持ってきて、ちょこんと座った。そこをパパッと撮る。

そんな時に家の前を同級生が通りかかった。

「トミオ~!」

「おぉ~!」

会話を眺めていた母が「誰だぁ~?」

「ほれ、Uだぁ~」

「・・あいやぁ~・・おめさん・・うんうん」

母の頭が一気に回転しだした。

表情が明るくなる。豊かになる。感情もそうだろう。

人と接してないとダメなんだわ。

bw f3.5 1/200sec iso200  胎内市14日撮影

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