柔らかな光

撮影の実際

「なんで、こんなにフラれるんだろう?」
「正直に、偽りなく接しているのに、どうして逃げていくんだろう」

この写真を撮影するまで蝶を追いかけていました。この季節になって、見かけるようになったルリタテハです。撮影に来る度、歩道脇の地面で翅をベタ~と拡げている。

黒く焦げた樹肌に似た裏翅とは対照的に藍色に瑠璃色のラインが目を引きます。そんな蝶が先を行く私のすぐ前で飛び上がるのですから、追いかけずにはいられません。

追いかける・・と言っても、2,3歩ほど。しばらくするとフラフラと、酔っ払いのような感じで戻ってくるのですね。ブーメランみたいでもある。

ところが、近づいて、シャッターを押そうとすると決まって逃げられる。シャッターボタンを押すその動作がピストルの引き金を引く動作に見えるのかな。殺気を感じとっているのだろうか。

時間をかけて近づいて、息を殺して地面に腹這いになって、レンズを構えて、ピントを合わせて、さてそろそろ・・・。シャッターボタンにかけた人差し指に自身の信号を伝達しようとするまさにその瞬間に「じゃぁね!」ってな感じで。

この一連の動作を数時間繰り返していました。そして・・1枚も撮れない。それにかけた時間、労力を考えるとガックシなのだ。

そんなフラフラした状態で周りを見渡してみたら、樹幹越しに柔らかな西陽が降り注いでいました。林の向こうの湖面も輝いています。

ほぼ、逆光の位置で眺めているから、木々の緑がことのほか美しく見えました。その中のひとつ、地上近くで萌え出た初葉に目がとまりました。林の底まで届く陽の光。その光を浴びてなんだか穏やかそう。

「お前さんは逃げないね~」・・そんな気持ちで撮ったかな。柔らかそうな光に、少しだけ沈んだ気持ちが癒やされたような、しないような、どうでもいいような。

RVP100 AI Micro-Nikkor105 f/4s NikonF5  4月23日撮影

ニコンな小話

このレンズ Ai-Nikkor 105 f/4s は大変気に入っている。現行機種のf値 2.8 の前のタイプで、製造開始は35年以上も前。私が使っているレンズはシリアルナンバーから推察して1984年頃の後期タイプと思われる。これを溺愛している。

レンズ構成は3群5枚。少ないな~と感じるのも当然ですね。現行タイプ9群10枚ですから。「f値を1段明るくした差が出たのじゃないの」・・う~ん、それだけかな?

重さ500㌘ある。かたや現行君は515㌘。レンズ枚数が3倍になっているのに15㌘しか差が無い。コレはどういうこと?それだけ頑丈ということ?無理しない作り?

レンズ鏡胴内部は黒く植毛されている。丁寧な作りを感じるんだな。

あ、話が長くなってきたんで止めますわ。続きはまたの機会にしましょう。

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福島潟・水鏡

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