いつの頃からだろう、気が付けば頭の中が高い音域でシャ~と鳴っている。
意識し出すとイライラしてくる。鎮める術がないから敢えてこの“難病“に触れないようにしているが、時々、喩えようもない息苦しさを感じる。
今も絶え間なく鳴っているし。
先週10日金曜日に今年はじめて蝉の音を聞いた。
おそらく数日前から鳴いていたと思うが知らずに過ごしていたのだろう。
その音・・耳鳴りの音とソックリなのにギクッとなった。
遠くどこからともなく流れてくるその音は掴み所の全く無い空気の流れ、もしくは塊みたいなもんで、途切れることなく続くその音に自身の耳鳴りがシンクロしていくのでした。
写真
朝の白んできた頃、草の根元近くにコイツがいた。
雨か朝露かビッショリ濡れてて、躰全体が水膜に覆われている感じにさえ見えた。死んでいると思っていたからそれ以上の注意の視線を向けることなかったけど。
だから記憶もそれまでよ。
この日はハッチョウトンボの撮影にやって来たが暗いしそれに周りがかなり荒れている。草藪に踏み込んだ形跡があちらこちらに醜く残っていて、それを認めてしまって空しくなった。
おそらくは平日にやって来た人間どもが所構わず踏み込んだのだろう。いたたまれず帰ることにした(それでいて帰りしな偶々見つけた成熟したハッチョウ♂を写真に撮る)。
ところが家に戻ると女房が女子会やるのでその子の家まで送ってくれという。
それで「いいよ」と送り届けたんだけど、そのついでにまたやって来たのでした。
どうも蝉のことが気になって。
そのポイントに着くとタイミングよく雨が降り出して、緊急避難。
「こりゃ、ヤツは水没してるかも」と案じてましたが、雨が上がり(通り雨っぽい)、探してみたら、いたぁ~。
写真のように草の葉の中段近くまで登っていたんだ。
まちがいなくコイツだろう。
生きてたんだ。
雨が降っててもニイニイちゃんはじっと堪えていたんだね。
最初から縦位置で、眺める角度を微妙に変えながら撮っていく。
明るくなって元気が出てきたのかな、前脚をワニャワニャ頻繁に動かし始めましたねぇ。
その様子を見てて「こりゃ、葉っぱのテッペンまでのぼるかぁ」と。
でも飛んじゃった。不時着したけど。
不時着場所が僕の右手の中!
開いた状態でゆっくり手首を回すと蝉ちゃんは手の平から甲へと伝い歩いた(写真がその時の)。
左手だけで雲台からカメラを外し腹を支えにカメラを持ち直しパシャリしている。
コイツは一体なにものか?
成虫になったばかりなのか?
僕の肌のように萎びた装いに見えたのは気のせいか。
7月11日撮影 阿賀野市
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