闇の中で大地に蓋をするように漂っていたのは放射霧だった。
その中を通って湖畔へと進み、目を凝らして辺りを窺うも、其処には見慣れたシルエットが佇んでいるだけで、拍子抜けした。
後ろを振り返ってみる。
確かに地表近くで霧が揺らいでいる。
集まったギャラリーを失望させたくないのか、福島潟の主が大地で沸き上がった霧をしきりに湖上へと誘っているようだが、力及ばず、せいぜい岸辺でとどまり、全体までは拡がらない。
朝焼けの刻を迎える頃には後ろで「いまか」と待機していた霧さえも萎んでしまい、代わりに掃き清められた潟が現れてきたのです。
夜明けが遠く山裾から、潟を渡り、こちらに向かってきます。
RVP100 AI-Nikkor 35 f/2s NikonF5 11月13日撮影
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