森敦の小説『月山』、舞台となる鶴岡市の山懐深く注連寺の庫裡に、カメムシが大挙して押し寄せ、寺の爺さんの追い払う所作から、主人公が冬の到来を感じとる場面が出てくる。
そのカメムシが、このクサギカメムシでねんだが?
小説を読み返すうちに、それは確信へと近づいてはいるが自信はない。
自信の無い理由の一つがにおいだ。小説では柄杓で打ち落としたり、脚で踏んづけたりする度ごとに、においに辟易しているようだが、その覚しきカメムシを捕まえて鼻先に持ってきてもにおいが判らない。
タバコを止めてから数年、女房に「あんた、鼻効くようになったね」と言われ、会社でも「犬みてえだな」と良いのか悪いのか、そんな風に呼ばれるが、ヤツの腹の部分を嗅いでも、背中を嗅いでもちっともにおいがしてこない。
もしかしたら、ちょっこら怒らせたり、危険な目に遭わせない限り異臭を発しないのではないのかな、なんて学者ぶってみたくもなるのだ。
おそらくはくさいにおいは仲間への警告臭でもあるのかなとも考えている。
人様にはあまり宜しくない存在ではあるが、陽が射して葛の葉は輝き、葉脈は血管のように浮き出て見えるし、カメちゃんの甲羅もそれなりに綺麗に光ってきたことだし・・・と言うわけで写真に撮ってみた。
RVP100 AI Micro-Nikkor105 f/4s NikonF5 8月15日撮影
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