昨年夏の終わり頃から気になっていて、何度も様子を伺いに来ていた。
なかなか剥がれ落ちない葉っぱとそれにしがみつくセミの抜け殻は、生きた夏の間に、なにか大きな忘れ物をしてしまって、あとでコッソリ取りに来るための目印に思えてくるのです。
仲間の葉っぱや抜け殻が秋が深まりやがて冬がやって来て、次々に剥がれ落ちていくのに、なにをそんなに執着しているのかなどと、考えてしまう事もありました。
12月に入りロウバイの花芽がまん丸に膨らんでくる頃には、「この姿のまま雪をいただけば、セミの化身にして本望かな」などと哲学めいた事すら考えるに至りました。
「雪が舞い落ちる様を観てみたい」「春の息吹を感じたい」
セミはそんな願いを抜け殻に託したのかな、などと想うのです。
写真は12月末に確認に行った際、「もはやこれまでかな」と感じて撮影しておいたもの。葉が濡れて重みを増してきたようです。
この構図で花が咲き、さらに雪が積もる姿を想像してはチャンスを伺っていましたが、年が明けて見に行くと、跡形もありません。
セミも私も思い描いた夢は正夢とはいきませんでした。
RVP100 AI Micro-Nikkor105 f/4s NikonF5 昨年12月暮撮影
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