小高い山の斜面でカタクリの根を掘っては一心に食べていた。といっても、私が近づいているのは十分承知しているらしく、時折、顔をあげてはこちらをチラ見。
そのうち鼻がピクピク動き、「それ以上邪魔するな」と言われたようで間を詰めるのをやめた。
こちらは無関心を装い、足元の花でも撮ろうと三脚をセットし、カメラを載せてしゃがみ込んだところで、ゆっくり身体を反転させて緊張気味に見やると、彼は既にこちらを胡散臭そうに眺めていた。
その態度は「なに馬鹿やってんの?」という感じだった。
200㍉ズームでも十分余裕の距離に国の特別天然記念物カモシカが朝飯を食べている。緊張するのは当たり前だ。
旧ベルビア50 200ズーム NikonF5 関川村鷹巣
撮影年不明 合同写真展出品歴あり
[ad#co-1]
この記事へのコメントはありません。