母の肖像

gr3

11日の『母の日』を忘れていた。このところ4月下旬ごろから母は体調が優れず寝込んでいる時間が多くなっていた。起きれば「頭がなんだか痛いんさぁ~」と自覚症状を口にする。

だから、毎週日曜日は欠かさず実家に戻り様子をうかがっていた。11日は久しぶりに女房の作ったおにぎりを持参した。女房のおにぎりは母にとっては大好物。

母は持参した子袋の中におにぎりが入っていることを確かめると、おもむろに体を起こし、テーブルの上にある手帳とボールペンを引き寄せ、なにやら書き始めた。

(あぁ・・調子よさそうだ・・また腐葉土だな)

「これ買ってきてくれ」母。

メモをみると、早撒きカブの種2袋、牛糞40㌔1袋、腐葉土3袋。

(おぉ・・元気だな・・畑仕事をする気力がある・・)

一通り、俺に指示するとまた横になって目を閉じた。俺は仏壇の水を変える。そしてソファーに横になる母の近くまで寄って、GRを構えて写真を撮った。

壁に掛かった先祖代々の遺影が画角に収まる構図を探す。

で、用件をすべてこなして新潟へ戻ってくる途中で思い出した。

『母の日』だったことを。母はこの日が『母の日』であることを知っているに違い。にもかかわらず、一言もその話題に触れてこない。敢えてそうしたのかもしれない。

悪いことしたなぁ~・・ちょっと胸につかえている。

流木と影と半夏厚朴湯

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