僕が閉暗所恐怖症であるのを自覚したのは娘が3歳の頃、新潟では唯一の遊園地・サントピアワールドへ遊びに行った時だった。深海探査船みたいな密閉された中で急に恐怖感を覚え息苦しくなった。一刻も早く逃げ出したく心臓がバクバクしてきて危うく気絶するところだった。船内からどうやって出てきたのか覚えはないが、次のアトラクションに向かって走りたがる娘の腕を押さえ宥めながら椅子になだれ込んだ記憶はある。
ビルとビルの隙間の前に立つと、必ずその時の情景が蘇る。が、なぜか自然体でいられる。いつでも動いて逃げられるし、ビルの向こうに空間が見えるからにほかならない。
むしろ興味を覚える。
歩いていて徹底的に隙間に入り込んでみたい。
外壁が汚れていて、しかも身体をよじって進まなくちゃならない所は上着が汚れるんで遠慮したけどね。あ、あ・・それと明らかに私有地だってな所もそう。
ここはどこだ?
「もう一度行ってみてよ」と言われても無理である。
行き当たりばったり、地図もない。
暗いビルの隙間から空を仰ぐとダクトが眩しいほどに光って見えた。
23日古町界隈
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