ときおり突風が吹いているのだろう、柱の継ぎ目からミシッと小さな音が聞こえだすと窓硝子にぶつかるザラメは勢いづき、海岸に打ち寄せる波のように迫って聞こえてくるのだった。
布団の中から腕時計をたぐり寄せ時間を確かめると午前5時を少しまわったところ。夜明けにはまだ早い。目をつむるが眠れず、しばらく彼らの冬の心拍に耳を澄ましていた。
明るくなって家の周りを歩いてみた。静かだ。誰一人歩いていないし車も来ない。吹雪は鎮まってはまた動き出す。その度に立ち止まってはカメラを懐奥にしまい込んだ。
写真は実家からおよそ30秒ほどのところ。
川戸が今でも残ってる。
生活に密着した川。
僕が小学生の頃はこの川でカジカやハヤ、オイカワを捕まえて遊んでいた。なのに成長するにつれて興味の対象が他にそれ、川へ近づくこともなくなった。
そんな中で高校生の頃に見た川の印象が今でも残っている。汚い川・・川底に瓶や茶碗の欠片が彼方此方あって、枯れ枝にビニールが引っかかってて、それがヌメヌメと醜く光っていた。
いつからこんなになった?
幼い頃に親しんだ川の姿がすっかり消えてショックだった。
先日、写真の数百㍍遡った上流部で小魚が群れているのを見た。けれども、あの時の光景がベールのように降りてきて戯れる小魚の輪郭すらぼやけてしまった。
慣れ親しんだ川だけに汚れた川の記憶はそう簡単には浄化されないということか。
元旦に撮影
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