Adox CHS100ⅱ Ai-Nikkor 24f2.8s NikonF3
午前10時頃の海岸端は横殴りの風で雪が弾丸みたいに飛んでいた。密度が濃い。傘は用をなさず、自分の体は真っ白く覆われて周りの景色に溶け込んでいく。
忍法・カモフラージュの術・・真冬の到来に最初はそんなこと言って独りはしゃいでいたが、そのうち首から提げているカメラが気になりだした。
唇を舐めると塩っぱい。
カメラも塩っぱい雪でカモフラージュされていた。
風を背に受けタオルで拭き取って、上着の中へしまい込む。
時折、ドォ~ンと荒波の音
ゴワァ~・・雪交じりの風の道が現れる
「ヒェ~・・」寒さ、もしくは開放感で叫ぶオイラの声もかき消される
胎内市/桃崎浜/12月19日撮影
裏話の表話
Adox CHS100ⅱは描写が緻密。ハイライトの飛びも目立たない。けれどもフィルムが極薄で、現像開始前のリールへの巻き取りに苦戦する。巻き取り途中で引っかかり、進まなくなるからだ。
それが嫌でしばらく使用を避けていたが、描写の素晴らしさは代えがたい。博打みたいな現像が後に控えているのを承知で撮影の友とした。
それで現像前作業の開始。
リールへの巻き取りトラブルを恐れて、リール両側に付いてる金属玉周辺をエアダスターで念入りにシュッシュ。爪楊枝の先っぽで球を幾度も転がして馴染ませる。
さぁ・・どうだ?
ダークバック内でリールにあてがったフィルムがスムーズに巻き込めるか!
カチャ、カチャ・・リールの左右を逆回転させながらフィルムを送り込む・・大丈夫だ・・さらに送り込む・・大丈夫だ・・(巻き込み半分ほど)・・ちょっとぎこちないぞ・・でも大丈夫だ・・このままいけるか?・・おや、なんか窮屈になってきたぞ・・ダメか?・・(終わりが近づく)・・いけるか!・・だましだまし送り込む・・パトローネからフィルムが出なくなった(終点だ!)
成功だ!・・この難関を乗り越えればもう大丈夫。
現像液投入前の前浴時の排水はイカ墨色甚だし。乾いたフィルムは6コマ毎にハサミでプッツンすると、キャァ~・・まるで腕輪のようにカールする。
カールを抑えるカーリングレイヤーという機能があるよ・・なんて書かれているけどホントかぁ~である。閉め切った浴室内に約15時間吊していた割にフィルムの反り返りは相変わらず盛大だ。
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