蒲原平野で見つけた記憶のクルマ

gr3

数年前の新潟県展。数ある作品の中で鈍色の大地と空、それに崩れかけの車を写した作品が目を引いた。美しいモノクロ描写、丁寧な構図。入賞作品でもいいくらい。しばらく見入っていた。

それ以来、その作品が常に頭の隅にある。

作品の中の車は日本のどこかで撮影したんだろう。万が一にもその車を見かけることはあるまい。ただ同じようにあんな車を寂れた風景の中に溶け込ませて撮りたいもんだ。

ずっと思っている。

今のは・・アレだ!・・ソレだ!

只今蒲原平野は稲刈り真っただ中。そんな風景を撮りたいと田園地帯を走っていた。初めての道。信号交差点を直進してすぐに「ん?」となる。進行方向左手の畑に見覚えのある車・・。

まさかの・・アレだ!・・瞬時に反応した。

車を停めることも出来ず走りながら通りすがりのバス停の地名を頭に刻み込んだ。家に戻ってグーグルに地名を打ち込んで画像を確認し番地を割り出そうと考えた。

地名を打ち込み、グーグル写真画像と格闘すること30分。ついに見つけた。

初めて走った場所なので道順を再確認した。

で、翌日の事ね・・・

稲刈りをバックで撮ってみようかって。現場に到着して直ぐに飛びついている。背景の田んぼにコンバインが行ったり来たりしてる最中だった。早くしないとコンバインが遠くへ行ってしまう。

慌てる(カメラの操作を誤るくらい)。

構図を決めてもコンバインが画角に収まらない時がある。僕の車は道路の待避所に停めたから問題ないが、僕は立ったりしゃがんだりした。周りから見れば「あいつ、なにやってんだ?」レベルだ。

長居はマズい・・。そんな思いを抱きながら撮っていた。

また行くつもり。次回はじっくり事前に準備してな。

しかし、なんと不思議なことだ。

まさか記憶の中の車が目の前に現れるなんて奇跡である。

晩夏の海・桃崎浜

石と流れを撮りに剣竜峡へ

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