山藤(野藤)にしては花房が長いみたいな。でも此所は山の際。
花の色は薄紫で公園で見られるあの藤の花のような艶やかさは感じない。それで、ずっと前から勝手に『山際 藤子』と呼んでいる。
この日はこの“藤子”に会う目的でここに来たのではない。
サンコウチョウという目の周りがコバルトブルーで「月・・日・・星・・ホイ、ホイ、ホイ」と聞こえるような鳴き方をする夏鳥を探しにやって来たのだった。
肝心のその野鳥の姿は確認出来なかったが、鳴き声は確かに聞こえてきた。
薄暗い林床から抜け出ると、“藤子”は「ウフッ」ってな姿で私を迎えてくれた。実際はぶら下がっていた・・といったほうが正確なのだが。
不安定な空模様で晴れて陽が射したと思っていると、雨雲が流れてきて遠くでゴロゴロ鳴り出して、雨が降ってくる。けれど、しばらくするとまた陽が射してくる。またまたゴロゴロ鳴り出して、今度はザバ~と雨が落ちてきた。
”山際 藤子”は雨女。
昨年は雨どころか、風まで吹いて、体全体が荒れ狂っていた状態で私を出迎えている。写真に撮られると魂を抜き取られるとでも思っていたのだろう。
今回は天気こそ気まぐれだが、落ち着いた彼女がそこにいる。“髪”も乱れていない。ただ花房という“ヒゲ”がちょっち伸びたような感じだ。
雨が止んだ。風もとまった。写真を撮ることにした。
ファインダーで構図を合わせていて「ん・・?」
これは・・山際 藤子・・で・・ないかも・・
近くで姿形がそっくりな“女”がニヤついた顔して、花房という名の“ヒゲ”を葉っぱの“髪の毛”でなでなでしながらこちらを見ているんだな。
もしかしたら、ホントの藤子はアレかも。
でも、こっちの方が絵になるなぁ~
『山際 藤子』が一気に増えたような、そうでもないような・・そんな感じの山の際なのでありました。そうだ、“藤子”を少し明るめに撮ったのだった。
RVP100 AI-Nikkor 180 f/2.8s ED NikonF3 阿賀野市 5日撮影
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