タイトル通りである。
僕はこのエスカレーターを利用する通行人に声掛けできない。断られるのが嫌じゃなく、そもそも見ず知らずの他人にいきなり「写真撮ってもいいですか?」と言えない性分だ。
友達や同僚らは僕のこうした内気さを信じない。
僕自身もそうである。
自分の性格上、誰よりも率先して【声掛け】が出来て当たり前だ。20代の後半で業界新聞の記者をかじった。あの頃は【行け行けドンドン】で、知らない人に声をかけまくっていた。
なんでこんなに弱気な男になっちまったんだろう。
この時期を逃したら・・撮れない!
季節の移ろいは待っていてはくれない。この写真の光は限られた季節と時間でしか見ることができない。まさに今なんだ。それで、数カットよそ様を撮影してる。
でも、撮影後に声もかけてもいない。
盗撮だ。
このままじゃ、悶々としたまま撮影の時期を逸してしまう。
奥様は専属モデル
説得した。
ちょっとだけでイイから。エスカレーターを下りて上がって・・それを数回繰り返す。ピーカンに晴れたら、しかも午後の2時前後でいい・・。俺を助けてくれ、頼む!と。
渋々応じてくれた。
さて、撮影を始めると・・
いつしか「背筋伸ばして」「今度は顔を上向きで」「下りたらそのまま上へ」「明るい気持ちで」・・女房に細かな指示を出すようになる。頭のエンジンが徐々に回転していく。
「えぇ~・・またぁ~・・何回やれば気が済むん!」女房は疲れていく。
このエスカレーターは我々の貸し切りではない。利用客がいる。
「待ってなくていいです!」「どうぞ、利用なさってください!」「妻をモデルに写真撮ってたんです」・・よそ様に気楽に接している俺の姿に「はぁ~?」と奥様の顔色が変わっていく。
いろいろありましたが、この写真は【習作】ということで。
3日・撮影
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