昨年10月末にこのブナ異形樹を目の当たりにし僕は言葉を失った。この地に根付いてどれだけの年月が過ぎたのだろうとか、見上げた人の身なりは様変わりしただろうとか、自然の猛威にどれだけ晒されたのだろうとか・・タイムスリップした空想の姿がとめどなく頭に浮かんだ。そして僕はあの懐にちょこんと納まってみたのだ。漆黒の夜空にポツンと星が見えた気がした。
ワイコンGW-4でよりダイナミックな姿を撮りたいと思った。女房をなだめて金を工面した。だが手元に届いた時には既に通じる道路が冬季閉鎖になっていた。
なもんで、今回がブナ撮り本チャンなのだ。
ほぼ半年ぶりだ。午前7時。誰もいない(猿が道路に出てたな)。上下カッパに身を包み長靴履く。熊避け鈴を手に持ち打ち鳴らす。大声でしばらく叫びながら急坂を登っていく。
ワイコンGW-4の力はいかに!
アレ?
こんなもん?
・・思っていた以上に画角が広くない。35㎜版換算で21㎜になる。広いはずだ。なのになぜ。想像が先行したんだ。頭の中のイメージが現実を超えて膨らんでしまっていた。
よくある話だ・・ちょっこら気落ちした。
振り切って対峙する。地面に腹這いになる。ポチる。水平確かめまたポチる。
21日・ししのくらの森
追伸:山道沿いにイワウチワが咲いていた。が、盛りは過ぎていた。ブナの葉に初々しさは消えていた。来るのがもう一週間早かったらと悔やまれた。この時期の姿は来年に持ち越しである。
となれば、雨上がり、霧の立ち込めた森の中、そんな姿を撮りたいものだ。
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