夏の蒸し暑い昼下がりなのに、ちょっともの悲しい雰囲気がそこには淀んでいるようでした。
草薮に体を突っ込んでカメラを構えると、すぐにドロ~ンとした汗が僕の体のあらゆる毛穴から滲み出てきて、さらには蚊まで集ってくる。
気にしな~い・・気にしな~い・・
・・努めてクールに気持ちを落ち着けようとしましたが、そうした思考回路も限界に近づいているみたいで、着ている上着も下着も皮膚にベッタリ付着しているのが気に障る。
蚊に刺された足元に猛烈な痒みを覚えて、カメラはそこに残したまま、自分だけ夏草の中から逃げ出した。
そうして、離れた場所からカメラを向けたその構図場所を眺めてみたら、熱を帯びた僕の体とはまったく異質のなんだか物淋しい淀みがそこに沈殿しているようで、一瞬鳥肌が立った。
手前廃船の操舵室部分を覆っている夏草はハマゴウか。青紫色の花びらは、その場に清涼感を与えようとしていたが、力及ばないようだ。
ACROS 100Ⅱ Ai-Nikkor 180 f/2.8s ED NikonF3 7月下旬撮影
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